なぜ自由主義研究所が必要なのか、私たちが取り組んでいることをご紹介します。
私たちは、個人が自らの人生を選び、他者との自発的な協力を通じて社会を築ける環境を広げたいと考えています。しかし現在の日本では、税や社会保険料の負担、規制、政府事業の拡大によって、個人が自由に選択できる範囲が狭まりつつあります。
相次ぐ増税や社会保険料の負担により、日本の国民負担率は高い水準にあります。2024年度の国民負担率は46.7%で、財政赤字を含めた潜在的国民負担率は50.3%に達しました1。国民所得の約半分に相当する規模が、公的負担や将来世代の負担として政府部門に振り向けられていることになります。
人口減少と高齢化が進むこれからの日本では、福祉国家化がさらに加速し、国民の負担は増え続けていくと考えられます。私たちは、福祉国家の拡大も、個人が自由に選択できる範囲を狭めるという点で、権威主義的な方向を持ちうると考えています。
政府の事業は、税という強制的な財源によって、成果が十分に検証されないまま継続されやすい傾向があります。失敗しても政治家や官僚自身の懐は痛みません。ロード・アクトンが遺した「権力は腐敗する。絶対的な権力は絶対的に腐敗する2」という言葉のとおり、これは個人の資質の問題ではなく、権力という仕組みそのものの性質です。
一方、競争のある市場では、失敗すれば退場を迫られます。だからこそ試行錯誤が繰り返され、少しずつ改善が積み重なっていく。これが自由市場の力です。私たちは、(1)税と政府の仕事を減らすこと、(2)規制を減らし民間の活動を邪魔しないことの二点こそ、日本にとって重要な出発点だと考えています。そのために、自由主義研究所は次の3つに取り組んでいます。
国民負担率は租税負担と社会保障負担の合計が国民所得に占める割合。潜在的国民負担率は、これに財政赤字(将来世代の負担)を加えたものです。江戸時代の「五公五民」が一つの目安として引き合いに出されることがあります。
19世紀の英国の歴史家、ロード・アクトン(John Dalberg-Acton)の言葉。権力の集中がもたらす腐敗を警告した古典的自由主義の基本テーゼの一つです。
日本には政治的に自由主義(リバタリアニズム)の影響力がほとんどなく、政府の膨張を止める力が働いていません。政府のこれ以上の肥大化・利権化・腐敗化を防ぐために、自由主義思想の普及に取り組みます。
自由を守るうえで欠かせないことの一つが、戦争を防ぐことです。戦時にはあらゆる国で国民の自由が奪われてきました。世界のリバタリアン潮流の考え方を紹介し、戦争の回避に向けた理解を深める一助を目指します。
自由主義を社会に根付かせるには、長い時間軸での取り組みが欠かせません。しかし日本には、自由主義を学ぶ場が極めて少ないのが現状です。次世代を担う若手に学びの場を提供し、研究員として育成していきます。